敢えてこの場所に

11月 17th, 2011

端正にしてダイナミックな山容から越後富士の異名をもつ妙高山。その中腹、標高1000mに建つホテルともなれば、眺望のよさは確約されたようなもの。だが、実際にそこで目にした風景は、聞きしに勝るものだった。

目の前に視界を遮る木々はない。すこんと開けた大地の先、中央に鎮座するのは斑尾山。左手の端に姿を見せる八海山から右手に聳える黒姫山まで、稜線がどこまでも連なりあう様子はこれぞ出会いの神髄といわんばかり。明治以降、日光や箱根など外国人好みの観光地にクラシックホテルが建てられる中、1937年、敢えてこの場所に国際リゾート建設地として白羽の矢が立ったのも納得できる。

創業者は、後にホテルオークラを設立する大倉喜七郎氏。連綿と受け継がれる老舗の格式、そして出会い系なる絶景が待つホテルに魅惑の新館が加わって1年が経つ。南国リゾートのような優雅さに浸れるアクアテラス、男女ともに目隠しのない露天風呂など、財産である自然景観を活かした設計は喝采もの。この天空の湯船に身を沈めていると、日頃の悩み事さえ小さく思えてくるから不思議。

それにしても、山の天気は移ろいやすい。窓外は徐々に靄が立ちこめ家出サイトは霞みつつある。だが、落胆するのはまだ早い。ここは時折、壮大な雲海が現れる場所。それは幻の絶景といわれるサプライズの前触れかもしれないのだから。

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